日本人の睡眠時間がここ20年でもっとも短いという調査結果となった。
日本人の睡眠時間がここ20年で最も短くなり、とくに働き盛りの世代での減少が目立つことが、総務省がまとめた06年の社会生活基本調査でわかった。
その一方で、仕事時間は増加し、余暇など自由に使える時間も減っており、寝不足で懸命に働く日本人像が浮き彫りになった。
調査は5年ごとに実施しており、10歳以上の約8万世帯18万人が対象。
1日の平均睡眠時間は調査を開始した86年から男女とも減少傾向にある。
年齢別では、ほとんどの世代で減少、とくに45~49歳が7時間5分と最も短く、次いで40~44歳と50~54歳が7時間9分だった。
最も長いのは85歳以上の9時間47分。
一方、仕事時間は01年まで減少してきたが、06年には増加に転じた。正規の職員・従業員は1日平均7時間11分、それ以外の雇用者は4時間27分で、それぞれ5年前より15分、13分増加した。
食事時間の合計は5年前より全体で1分長い1時間39分となったが、45歳以上65歳未満の世代では1~3分短くなった。
昔から「寝る子は育つ」というが、睡眠は子どもだけでなく、大人が健康な生活をおくるためにも極めて重要だ。
二十四時間開いているレストランやコンビニエンスストアなど、現代人の生活のサイクルがますます夜型になっている。
そして、それにともなって各種の睡眠障害で悩む人もどんどん増えている。睡眠が重要であることはだれでも分かってはいるが、その医学的な意味についてはあまり知られていない。
かつて睡眠は、脳やからだが疲れて休んでいるだけの状態と思われていた。
ところが1950年ごろから、睡眠中の脳波や眼球運動などを調べてみると、一晩の間に睡眠が深くなったり浅くなったりしていることが分かってきた。
さらに、各種ホルモンや免疫に関与していることが判明。ごく最近では、脳の記憶のメカニズムともかかわっているらしいことも指摘されている。
睡眠状態は大きく2つに分類される。
からだの力は抜けているが脳は動いているレム(REM)睡眠と、逆に脳は深く休んでいるがからだの筋肉の緊張状態は保持されているノンレム(NREM)睡眠だ。
健康な人はこの2つの状態がおよそ90分から120分周期で、一晩に4、5回繰り返される。夢を見たり、目が覚めやすい状態は、このレム睡眠の時。
動物にもレムとノンレムがあり、猫や犬が行儀悪く横になってヒゲやまぶたをピクピクさせて寝ているのがレム睡眠で、行儀よくうずくまって寝ているのがノンレム睡眠だ。
睡眠はからだの免疫と密接に関係している。
かぜをひいて熱が出ると眠たくなるのは、からだが免疫機能を高めてウイルスを排除しようとしているのだ。
大手生命保険会社の調査結果によると、マスコミや金融機関など睡眠が不規則な職業の人は、がんによる死亡率が高いという。
国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真・精神生理部精神機能研究室長も「睡眠を引き起こす物質は免疫にも関係している。
だから免疫と睡眠は表裏一体で、夜寝るときは同時に免疫機能も高まっている。
よく眠る人は免疫機能が増強され、感染症やがんなどの予防にもいい影響があるだろう」と指摘する。
何か怖いものに追いかけられる夢を見た経験のある人は多いだろう。
このような夢について内山室長は「何か危機的な状態に対応するための本能的な危機回避反応が、レム睡眠中に再学習されているのではないか」とみている。
つまり人間は、寝ながらにして危機回避の訓練を復習しているというわけだ。
また睡眠と記憶について、内山室長は「人を集めて語学学習をさせると、その中で優秀な人の睡眠はレム睡眠の時間が長い。
どうもレム睡眠中に短期記憶が長期記憶として定着しているのではないか、という指摘があります。
寝ている間に脳が必要な記憶を整理しているというのです」と話す。
ということは、徹夜で語学の試験勉強をしてもあまり効果は上がらないのかもしれない。
レムとノンレムの現れるパターンも重要だ。
通常、人は寝入って90分ぐらいたってレム睡眠に入るが、うつ病の人は40分から60分。
しかし、うつ病が治ると元のように長くなるという。
離婚した直後の女性も同様、レム睡眠に早く入るという。
睡眠には、私たちがまだ知らないさまざまな機能がありそうだ。
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